第4章 微睡みから醒めて
「今日は……うん。また殲滅任務だね。
やたらと最近多いなぁ…はぁ…」
朝食を終えた太宰が現場で電子端末に送られてきた鷗外からの指示を確認して溜め息をつく。
『そう…また殲滅任務なんだね。
解った。じゃあ私と中也が前線に行くよ。
治は此処から指示出しや後方支援組への合図よろしく。』
そう告げて奏音は中也の元へ走っていく。
「え、えっと……我々は如何すれば良いでしょうか…」
後方支援組の部下達が恐る恐る太宰に声を掛ける。
「ん?あー…取り敢えず好きにしてて。」
そう云って太宰は右手をひらひらと軽く振った。
◇◇◇◇
「ねぇ!ヤダヤダヤダ!!!」
「五月蝿ェ!静かにしやがれ!」
五歳くらいの女の子の首元に短刀を突き付ける男。
そんな状況で大声を出して抵抗する女の子。
此処は敵の拠点から少し離れた倉庫街だ。
『うーん。この辺、かな。』
そう云い乍奏音は静かに倉庫街に降り立つ。
『中也、多分此処よ。
また危険だったら無線で連絡する。』
小さな声で無線に話しかける。
「あァ、解った。呉々も無茶はするな。」
太宰にも中也にも釘を刺され肩を窄める奏音。
『はぁい。解ってますよ〜だ。』
そう云って無線を切った。
『…そんなに危なっかしいのかな、?』
不思議に思い乍、一つの倉庫に足を踏み入れる。
すると、男の怒号が聞こえてきた。
『ん、ビンゴ。』
奏音は足早に声のする方へと向かった。
『ねーお兄さん。女の子可哀想。
あーあー…泪流しちゃって…』
そう云い乍奏音は男に近付く。
「動くなァァァ!
その場で止まれェェ!」
男が叫ぶが、奏音はビクともせず、歩みを止めない。
『異能力──四鏡、増鏡。』
そう告げると、奏音の分身が幾つも出来上がり、奏音と全く一緒の行動を取る。
「く、糞ッ。
どれが本物か解らねェ……」
『さぁ。どれが本物でしょうかッ!』
そう云って奏音は駆け出し、男の真正面に向かってゆく。
『ほら!おいで。此処だよ。』
男がどれが本物か迷ってあたふたしている間に、彼女は女の子に声を掛け、男の腕の中から攫う。