第4章 微睡みから醒めて
目を開けると、そこには…
──────太宰がいた。
『え………お、治、?!』
「こんな寒い所で寝て無いでくれ給え。
余りにも身体が冷たくて一瞬死んだかと…」
太宰は狼狽え乍奏音の身体を抱き締める。
「おぃ太宰!奏音居たかァ?」
中也は空中を移動し乍太宰に声を掛ける。
二人のやり取りを見て、奏音は夢から醒めて現実に戻ってきた事を悟る。
そして、安堵で全身の力が抜ける。
「まったく。君は勝手に行動して居なくなって。しかもこんなに身体を冷たくして寝ているなんて。何がしたかったんだい?自殺ならもっと清くやってくれ給え。それか私たちに心配して欲しかった?それとも…」
太宰は心配と怒りの入り交じった様な表情で捲し立てる。
「太宰。その位にしとけ。
奏音は俺が連れて行くから。手前は首領にでも報告しとけ。」
宙から降りてきた中也はそう告げて奏音を異能で抱き寄せ、そのまま去っていった。
◇◇◇◇
「大丈夫か。辛い夢でも見たか?」
中也は異能で宙を移動し乍奏音を気にかける。
『え…う、うん……』
そう云って目を固く閉じると、一筋の泪が頬に流れる。
「話なら俺が聞いてやる。
俺を…俺をもっと頼れ。そんなに頼りねェか?」
酷く悲しそうな顔をして中也はそう云った。
『違う、違うの……
でも…怖くて。もう誰一人として失いたくなくて…』
「だッたら尚更頼れ。俺が力になる。」
『な、何でそこ迄してくれるの、?』
奏音の声は泪で震えていた。
「そ、そりゃア………
手前が……
奏音の事が好きだからだよ。」
中也は顔を真っ赤に染める。
が、夜闇の中では奏音は彼の表情を見ることが出来なかった。
『う、うそっ…』
思わず奏音の口から飛び出た顔に中也は少し顔をしかめる。
「嘘な訳あるか。
俺は、手前に会った時から手前に惚れてて。
手前は最初は嫌がっていたが、正直ポートマフィアに入って欲しかった。
もっと、切っても切れない様な繋がりが欲しかった。」
中也の切な思いがひしひしと伝わってくる。
その真っ直ぐな気持ちが奏音にとっては痛みになる。