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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第4章 微睡みから醒めて






「美味しく無いかい?」

奏音の様子を不思議に思ったボスは不安そうに彼女の顔を覗き込む。


『いえ!美味しいです。唯…まだ眠たくて。』

作り笑いを顔に貼り付け乍答える奏音。


「そうか!じゃあ朝食後はまた部屋で寝ていなさい。また昼食時に起こしてあげるから。」

今にも割れそうな硝子を扱う様に優しく、愛娘を慈しむ様な目を向けられ、奏音は狼狽える。


『あ、ありがとう、ございます…。』

そそくさと朝食を終えて、奏音は自室に戻っていった。




自室に戻った奏音に声を掛けたのは昨日彼女を部屋まで連れてきた男だ。


「先日は無礼を働きすみませんした。
ボスの娘さんだったんですね。療養の為に部屋を変更なさったのだとか。

また何かあれば何なりと云ってくだせぇ。」

そう云って男は頭を下げた。


『え、あ、頭を上げて下さい。

何と呼んだら宜しいですか、?』


「お、俺は…名前無いんです。
番号で呼ばれてて…」

『え、じゃあ…』

そう云い乍奏音は彼の特徴を探していると、全身黒い服を着ている事に気付く。


『…黒さん。黒さんって呼んでも良いですか、?』

「お、れの事をですか?」

『嫌でしたか?』

不安そうな表情を浮かべる奏音。


「嫌なんてもんじゃないっす!
寧ろ、嬉しいっつーか……」

そう云って黒は頬を真っ赤に染める。


『じゃあ黒さんって呼びますね!
これから、?よろしくお願いします。』

そう云って奏音は頭を下げた。


「あぁ!頭上げてくだせぇ。
は、はい。こちらこそっす。お休みなさい。」



少しは打ち解けられたのかな。

と奏音は思い乍寝台に潜り込んだ。







「奏音!奏音!起きて。」


ぐっすり眠っていた奏音に誰かが声を掛ける。





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