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鏡薔薇【文豪ストレイドッグス】

第1章 出会いと始まり





『…四鏡、水鏡。』

少女が呟くと、少女の周りに硝子の破片が浮く。


「…異能力者かよ。」

少しうんざりしたような声を発したのは、今迄黙っていた中也だ。


「はいはい。中也は一寸黙っててよ。」

硝子の破片が自分に向いているのにも関わらず、太宰は歩みを進め、少女の肩を掴もうと手を伸ばす。


その手をひらりと躱すように少女は一歩飛び退き、

『…行こう。』

と、俯き加減で呟いた。
すると青年が何処からとも無く現れた。


「彼女を追いかけようなど無謀な事はお考えになさらない様。」

そう云い青年が一礼をすると、二人の姿は溶けるように消えていった。


「なンだったんだ。彼奴等。」

「特一級危険異能者と異能特務課のエージェントさ。」

太宰の返答に大きく目を見開く中也。

「なンでそんな奴等の所を尋ねたんだよ!」

今にも噛み付きそうな勢いで問い詰める中也。
太宰の胸ぐらを掴めそうな距離だ。



「なんでって…森さんの指示だから。」

面倒臭そうに淡々と答える太宰。

それを睨む中也。


怒りを抑えられない中也と、兎に角冷静を保つ太宰。

この様な二人の無言の攻防に決着が付くのは決まって中也が折れる時だった。



「はぁ…これからどうするものか。」

顎に手を当て乍太宰は歩みを進める。


ここ迄送ってきてくれた車は遥か彼方へ行ってしまい、二人は道路の真ん中にぽつりと残されている。



「先刻の奴らに用があンなら向かえば良いだろ。」

「……莫迦なのって云いたい所だけど今はそれしか方法が見つからないからそうするか……」

何やら太宰がボソボソと呟き、坂を登り始めた。



「ンだよ。一言くらい説明しろよ!」

うんざりし乍も太宰を追いかける中也。


「今から先刻の少女の元に向かうよ!」

そう叫び、太宰は走り出した。



◆◆◆◆



「……先刻の奴らに出逢うことをご存知でしたよね?そして"態々"出逢う為だけに此処を出た。

違いますか?ええ?合ってますでしょう?」

そう云い乍少女に詰め寄る青年。


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