第11章 真実と虚偽の狭間で
『なんで意志が……』
「ケイくん、かな、きっと。
彼の異能で業の魂の一部は僕らと共にあったんだ。
ケイくんの異能、生死卍巴は無限の可能性を秘める異能とも云われてる。
業も僕と共に助かるはずだった。
でも、彼の身体は弱くて、ダメージに耐えられなかった。」
その事実を奏音と太宰は呆然とし乍聞き、中也は目を伏せ乍聞いていた。
「ありがとう、太宰くん。
これで、僕は安心して奏音を任せられる。
心のしこりは全部消えた。
君に嘘をついて、騙していてごめん。
これは最後のお願い。
過去は忘れて、過去の苦しみからは解放されて。
どうか、幸せになって───。」
そう云って有島はその場から駆け出し去って行った。