第11章 真実と虚偽の狭間で
ポートマフィア本部前に着くと、有島は大勢の黒服から銃口を向けられる。
が、奏音が一言で制し、2人は中へと足を進めた。
「太宰治と中原中也いる?」
有島が少し切羽詰まった様な声で太宰の執務室前で叫ぶ。
すると、案の定2人は一緒に居たようで、2人揃って部屋から出て来た。
「奏音?!!大丈夫だったか?!」
中也は奏音の肩を掴み、奏音を抱き締めた。
『大丈夫よ。知れてよかったって事が沢山あったよ。』
中也と太宰を安心させる様な清々しい笑みを浮かべる奏音を見て、2人は安堵の息をつく。
「それでね。奏音に最大の告白をするから、太宰治。特に君に来て欲しい。
─────君に、僕の異能の暴走を止めて欲しい。」
その言葉にその場の全員が目を見開く。
『有島さん、異能暴走してたの、?』
「うん。1度きりのつもりだったんだけど…
制御出来なくなっちゃった。
ねぇ?業。」
そう云って有島は業の方を見るが、業の泪は未だに流れ続けていた。
「あ、触れる前に話をさせて。」
太宰が有島に触れようとした時、有島がゆっくりと話し出した。
「あのね、奏音。落ち着いて聞いてね。
業はね。
もう死んでいるんだよ。」
その言葉と同時に奏音と業がその場で泣き崩れ落ちる。
有島が奏音の顔を業の方に向けさせ、太宰が有島に触れると、業は一瞬でその場から消えてしまったのだ。
「僕の異能で一瞬だけ戻すつもりだった。
しかも映像としての業を。
でも、業の映像には業自身の意志が宿ってたんだ。
だから僕が異能を解かない限りは一人で動けるし、他の人にも触れられたんだ。
暫くは良いかなって思っていたんだけど、その暫くが続いたら異能は暴走して業への異能を解けなくなっちゃったんだよ。」