第1章 第一章 ①
裏の仕事をすると返答するとマネージャー室にまず案内された。
部室までの道中、貴子先輩の背中をぼんやりと見つめながらここに来て2日だが自分から行動を起こした試しがないことに気づいた。
きっとこれが私の欠点で直すべきところなのだろう。
自分の欠点を見つめ直し正さなければ前に進めないな、などと自答を繰り返していれば『ここだよ』前から声をかけられる。
いつの間にかマネージャー室に着いていたようだ
『マネージャー室では主にデスクワークで使用するんだけど、日誌を書いたり雑誌に掲載された皆の記事を切り貼りしたり、』
『あ!新一年来たっ』
『うぇ!!?美少女?!背ぇ高っ!』
ドアノブに手をかけながら仕事内容を説明する貴子先輩の声に被せるかのように部室の中から興奮気味な声がした。
説明しているのだから邪魔するなと窘める貴子先輩に二人の女子生徒がすみませんとおどけ気味に謝る。
『初めまして!背が高いんだねっ』
『はい よく言われます』
『何センチあるの?』
『170センチ位かと』
『えぇ?!そんなに?!モデルさんじゃんっ!』
いいね〜と気さくに話しかけてくる人達でマネージャーはこうじゃないといけないのかと一瞬考えさせられた。
二人は今年から二年生になる先輩だった。
吉川唯先輩と梅本幸子先輩は明るく元気な人で後輩ができるのが楽しみだった、これから頑張ろうねとニコニコと笑みを浮かべながら歓迎をしてくれた。
明るい先輩達に比べ淡々と言葉を返す私に『クールだね いつもそんな感じ?』と首を傾げながら尋ねてくる唯先輩に対しそうですねと答える。
『元々あまり感情の浮き沈みはありません』
『そうなんだ!まぁでもそんな感じなのかなーとは思ってた』
『先輩方は気さくで明るい方達ですね』
『え?そうかな?』
『えぇ、私から見ればコミュニケーションの取りかもお上手ですし笑顔でお話される姿はこちらの印象を良くし明るくして下さいます。それに先程から私のことをお褒めになりますが私からしたら談笑する姿が可愛らしく映る先輩方の方が綺麗だと思いますよ』