第1章 第一章 ①
練習に参加、と言うより見学になってしまった。
一日中外に出ている事なんてほとんどない私は家に着いて即風呂に入り夕飯も食べずに寝てしまっていた。
変な時間に寝てしまったが故、起きる時間も何時もよりかなり早めになってしまい目が冴えた私はランニングに行く事にした。
うちの家では少し変わったルールがあり、家にいる空いた時間必ず一時間は体を動かすと言うものがあった。
運動ならなんでも良かったため家出できる範囲の事は一通りしてきたがそれが習慣付いてて逆に体を動かさないと気持ち悪いのだ。
ランニングウェアに着替え一応スマホと反射タスキをかけ、外へ出る。
時刻は午前四時を指しており、土地勘が無いため少し危機感を抱いたが学校までの道のりなら大丈夫だろうと思い昨日通った道をランニングコースにする事にした。
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四月と言えど朝方はやはりまだ少し肌寒く肺に入れる空気も冷えきっていて走りながらも体が少し震える。
昨日見た野球部の練習は強豪と言われているだけあって躍動感があった。
人数にも圧倒されたが何より部員一人一人の熱量がヒリヒリと伝わってきてこちら側まで感化される勢いがだった。
それに____
それに、やっと間近で彼のプレーを観ることが叶ったのだ。
不純かも知れないが今の私の心を動かすのは彼の、御幸一也のプレーだから。
昨日まともに見れたのはロングティー位だったが強打者の多いチームの中、御幸も負けず劣らず良く飛ばしていた。
本当は捕手としてリードをしている彼の生き生きとしたプレーが観たいのだが、それはこれからいくらでも見られる。
もしかしたら今日の練習で観れるかも知れないと少し浮かれながら折り返しポイントを軽やかに走るのであった。