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サンビタリア

第1章 第一章 ①




日が暮れ始めた頃、一日中グラウンドを走り回っていた部員も疲れが見え始めそろそろ夕飯の時刻になる頃だとお腹の虫が騒ぎ始めた。


グラウンド整備後、道具の片付け等を行っていた者達も食堂に集まり始める。
その道中高く結われた髪を揺らしながら歩く女性の姿が見てた。御幸は女性の後姿を見るなりと『礼ちゃんっ』と呼び止めた。

片手を振りながら歩いてくる御幸を礼ちゃん及び高島礼は肩越しに返事をした。

『御幸くんどうしたの?』


『いやぁ礼ちゃんに聞きたいことあってさ』


距離が縮まり礼も御幸の方へと体を向ける。御幸が私に聞きたいこと?と疑問を抱きながら『なに?』と聞き返せば先程まで一緒にいたつばきの事だった。


『朝から礼ちゃんの隣にいた子ってマネージャー志望の子なの?』

『あぁ、つばきの事?そうよ 早い内に慣れさせようと思って連れて来たの』



『つばき??』



礼が一生徒を下の名前で呼んでいることに違和感を感じた御幸に対して『親戚の子なの』と表情を緩めながら言った。


『へぇ そうなんだ』


『何?もう目を付けたの?』



おどけながら言う礼に対し御幸は『なんでそうなるんだよっ』とこちらも冗談を返すような言い方で怒ってみせた。


『ただ来るにしては早いと思ったんだよ。新一年生もまだ参加してないこの時期に』


『そうね 確かに選手でも無いし出来る事も限られてる。でも間近で見せておきたかったの。ちょっと感情が乏しい子だから尚更ね』


『・・・世話焼きすぎじゃね?』


『仕方がないでしょう?可愛い妹みたいなものなんだから』




『手、出さないでね』と釘を刺す礼にため息混じりにハイハイと適当に返し、バツが悪くなったのか『晩飯だから またっ』と軽快な足取りで走り去って行った。もう話は済んだのだろう。それにしても急に呼び止めてそれは失礼ではないだろうか。
そんな御幸の後姿に苦笑気味に礼は思った。



あんな気難しい奴の何がいいのかしらっと____






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