第2章 第二章 ②
『倉持が御幸が理由なく手伝うなんておかしいって疑ってたから俺がシメたんじゃない?って言ってやったんだ』
『って噂の根源お前なのかよっ!』
『酷いな ただの軽い冗談だろ』
小湊が悪びれもなく聞いた話に尾鰭をつけたことを暴露しそれにすかさず伊佐敷が突っかかっていた。
その様子を同じようにお前やったんかいと言いたげな目でじとりと見ているつばきに『おつかれ』と声をかける御幸。
『ほんとですよ・・・どれだけ弁解しても振り出しに戻るし、御幸先輩信用ないし』
『信用ないとは失礼だな おい、これでも正捕手務めてますけど』
『先輩の日頃の行いが悪いからこんな事になるんです』
『お前もそのれらず口どうにかしねぇと"俺みたい"になるぞ』
先輩たちが言い合っている中、輪の端で貶し合いをしている2人の様子に貴子は驚いた。
確かに部に入って間もないつばきがこんなに喋っているのは初めて見る。
御幸より長い時間一緒にいるマネージャー達でさえ業務連絡を交わし合う程度なのに御幸とは楽しげに談笑(罵倒)しているではないか。
『二人とも仲がいいのね』と貴子は驚きを隠せないまま呟くと主力メンバーたちもここぞとばかりにまた二人にちゃちゃを入れ始めた。