第2章 第二章 ②
『あれ 今帰り?』
『おー お疲れ』
『あら皆!お疲れ様』
立ち止まり貴子先輩に話しかけてきたのは三年の先輩達だった。
小湊先輩に結城主将、増子副主将に伊佐敷副主将は練習着からラフな格好に着替えており部活中と少し違った印象に写った。
春乃と私も貴子先輩に続くように『お疲れ様です』と挨拶し軽く頭を下げた。
すると貴子先輩の後ろに居た私達に『お疲れ様』と柔らかく挨拶を返してくれた。
確か小湊先輩は同学年の小湊春市くんの兄だったはず。
二人共柔らかい雰囲気とピンク色の髪色がそっくりで兄弟だと誰から見てもわかる。背格好も同じ位なので後ろから見るとパッと見どちらなのか見分けがつかない。
そんな事を考えていると『そう言えば、』と小湊先輩が私の方を見ながら口を開いた。
『君、黒瀬さんだっけ?御幸にシメられたってほんと?』
『え・・?』
唐突で身に覚えの無い話に唖然とする私と『え!ウソ?!』と困惑するマネージャー達に追い討ちをかけるように野球部の三年は次々と語った。
『信じらんねぇ話だけどよ 御幸にソイツがよく分かんねぇけど連れてかれるの見たって騒いでる奴いてよ、俺は告るためにそうしたんじゃねぇかって思ったが、、』
『アイツに限ってそれはないだろう。』
『まぁ信じらんない話だけど御幸なら有り得ようでしょ?そう見せ掛けて辛辣な事言いそうだし』
『増子もいたんだろ?その時 』
『ウガッ!』
『どんだけ信用ないんですか』
女子にあまり興味がなく野球一筋の御幸に限って浮いた話は無いだろうと高を括り、御幸の性格の悪さを知っているからこその発想なんだろうが全て間違っている。、
この話しぶりからして結構な人数に間違った情報が行き届いてるとみた。
『御幸先輩は大変そうだからって荷物を一緒に運んでくれただけですよ』
誤解を解くため簡単に経緯を説明するもそれは裏があるんじゃないかと更に疑う先輩を見てどれだけ信用されてないだと一番最初に疑った自分が思った。