第2章 第二章 ②
1-C組の吉川春乃さん
出会ったその日はガチガチに緊張している様子だったのをよく覚えている。
部活中一年同士仲良くさせるため兼、仕事を覚えさせるためと先輩達の指示でよく一緒に行動させられることが多くなった。
淡泊な私に最初はよそよそしく、当たり障りない会話をしていたが段々慣れてきたのか『昨日は英語の授業は寝そうだった』とか『お昼に食べたものが美味しかった』だとかたわいもない話をしてくるようになっていた。
大抵私は聞き手側で、相手の話に相槌を交わし求められれば意見を言う。ほとんど受け身だがその方があまり自分の話をする事がなくて済み、正直楽だったのだ。
春乃と関わりはじめて彼女が心優しい性格だと言うことが分かった。
体も声も大きい野球部員にはまだ話しかけることが出来ないみたいだが私たちマネージャーには気さくに話しかけ、些細なことに気づき相手を思いやる言葉を普通にかける事が出来る人だった。
そんな事を普通にこなせる春乃にとても関心を抱かされた。私には無いものを春乃は持っていて素直に凄いと思った。
ただ、少し注意すべき点もあった。
そう。それは、、
『うわわわわわわっっ!!』
ガッッシャーーーーンッ!!
『ちょ、?!ちょっと春乃!何してんの!』
『す、すみません、段差に躓いてしまって』
『・・・・・。』
・・・かなりのドジっ子気質だった。