第2章 第二章 ②
周りの様子を見てみるとグラウンドの周りに設置されているフェンスの向こう側を囲うようにチラホラとだが人集りが出来ていた。
そうか、入学式も無事済み、新学期も始まった事だ。
これから一般入試で入った生徒達も部活見学で色々回っているのかも知れない。
もしかしたら部員が増えてくるのでは、、
そう考えながら集まっているギャラリー達を凝視していると後ろ首からにゅっと腕が伸び、そのまま背後を取られる様にぐっと力を入れられた。
『?!』
突然の出来事に驚きながら反射的に首をホールドしてくる人物に顔を向けると、してやったり顔の御幸がそこに居た。
『驚いた?』
『・・・・。』
私の首に巻き付けていた腕を外しながら御幸は悪戯が成功した子供のように笑けていた。
唐突な悪戯に動揺し心拍数が上がってしまったが仕掛けて来たのが御幸と分かると、また違う意味で脈が速くなり掛けている気がして御幸にバレない程度に一度深く息を吸い心を落ち着かせた。
『ここで何してるんですか。一年は走ってますよ』
『一年は体作りが基本だからな 俺らも去年は滅茶苦茶走らされてた』
『いや、そうではなくて』
『たまたま通りすがりにボケェと突っ立ってる奴がいてさ 一発ビシッと喝入れてやろうと思って』
ははははーと憎たらしく御幸にぐうの音も出ない。
最初ホールドしてきた腹いせに突っぱねる言い方をしてみたのだが全然気にする素振りもなく挙げ句の果てには現在作業も終わり何もしていない私を指摘してきた。
少しムッとし、言い返すように皮肉めいた言葉を紡ぐ。
『御幸先輩は後輩思いの優しい方ですね。ですが先輩もこんな所で私と喋る暇があるならバット降るなり何なりしてみてはどうですか?』
そうすればチームのスキルアップにも繋がりますよと続けて憎たらしく言い放った。
そんな私に御幸は『・・・可愛くねぇ』と聞こえるか聞こえないか位の声量で文句を吐いた。