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サンビタリア

第2章 第二章 ②




グラウンドに出て気づいた。
クラスで目が合った彼は野球部部員であった。
名前は、・・・まだ覚えていないが練習着に着替えた彼は他の一年部員たちと一緒にランニングをしていた。
もしかしたらあの時彼は私の顔に見覚えがある気がしてこちらを見ていたのかもしれない。
全然部員とまともに会話したことがない私は部員全員の名前も顔も覚えていない。
まだ部に関わって日が浅いとは言え、マネージャーとしてそれでは不味い気がする。


姉さんに頼んで全部員の写真と名簿でも頼んでみようかと一人悶々としていると後ろから名前を呼ばれた。




『つばき!マネージャー志望の仲間が来たよ!』




私を呼んだ幸子先輩は少しテンションが高くなっており声がとても弾んでいた。


そんな幸子先輩の後ろから唯先輩と貴子先輩、それと真新しい制服を来た女子生徒が立っていた。

彼女は緊張漂わせる面持ちで『吉川春乃ですっ!』と上擦った声を出しお世話になりますと何度もお時期を繰り返していた。
肩下まで伸ばされた少し赤み帯びたダークブラウンの髪がバサバサと揺れ激しさを物語っている。


こちらも浅く頭を下げながら自己紹介をし、
よろしくと挨拶を交わす。


『とりあえず今日は見学って事で私たちの仕事見てもらおうかな』


『は、はいっ!』


『つばき悪いんだけど今の作業済んだらドリンクもお願い』


『分かりました』


早速先輩達は仕事の流れを教えに彼女を引っ張って行ってしまった。
丁度こちらも作業がもう少しで終わる所だ。さっさと済ませてドリンク準備に向かおう。
そう思い手元を動かしているといつもより辺りが賑やかな気がした。




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