第2章 第二章 ②
うちの学校には桜の木はないのだろうか。
教室内から見える外の景色は窓際ではない私の席からではよく見えない。
だが校舎や体育館に行く間植木以外の植物は見かけていない気がした。
入学式に桜という固定概念は少し古いみたいだ
真新しい制服を着た生徒達が教卓の後ろで長々と話をしている真面目そうな雰囲気のクラス担任に注目している中、私はぼんやりと宙を見つめていた。
肘をつこうにも洗濯糊でしっかりコーティングされた制服は硬く、素直に曲げさせてはくれない。
今日は朝から気疲れが半端ない。、
冷える体育館で長時間拘束された後、密集率の高い廊下を一番端にある自分のクラスまで歩かされたのが気だるさの原因になったなだろう。
晴れ晴れしい学校生活が始まろうとしているというのに出だしから気が抜けている私は担任がいなくなり周りがザワついていることにも気づいていなかった。
部活に行こうとカバンを持ち椅子から立ち上がろうとした時、ふと視線を上げるとこちらを見ている男子生徒と目が合った。だがそれは一瞬のことで男子生徒は教室の出入口に向かって歩いて行ってしまった。
きっと偶然合っただけだろうと私も深く考えず、彼が出ていた方とは逆の出入口から出てマネージャー室に向かった。