第2章 第二章 ②
少し目を伏せ、御幸を見つめていた瞳が長いまつ毛のせいで影が出来る。一度二度とゆっくり瞬かせながら御幸に先程よりも熱で潤んだ様な瞳を戻した。
言う予定はなかった事を本人に伝えていくつばきは平静だ。だが言葉の一つ一つに熱がこもっているように感じた。それは聞いている側にも等しく伝わっており御幸の鼓動は少し早まった。
『だから、私もあなた達チームを支えになれるような働きをして行くつもりですのでこれからよろしくお願いしますね』
少しでもこの募っていた感情が伝わればとただ心の中で熱く、強く思いながら言葉を紡いだ。御幸と会話出来た事、伝えれる嬉しさから自然と表情が柔らかく綻んだ。
『ッ!』
笑っている顔なんて見た事がない御幸は不意をつかれ頬がじわりと熱くなるのを感じた。
普段無表情でいる事が多い人がたまに笑顔を向けられる人の気持ちがよくわかった気がした。だが今の御幸はキャパオーバーで頭は愚か体まで機能を停止している。
気持ちを伝え終わりスッキリしたつばきは『では失礼します』と御幸の前を走り去って行ったのであった。
表情も元の能面な顔に戻っていたがどこか明るく軽やかに見えた。
傍から見ると嵐のような出来事だったのだが本人達には時が止まって見えたのではないだろうか。
言いたいだけ言って去ってしまった つばき の後姿をぼんやりと見やりながら御幸はその場から動けずにいた。
『・・・え、なに今の、告白?』
別に御幸のことが好きだと言われたわけではないのにそう捉えてしまうのはつばきの熱のこもった言葉を受けたからなのか旗またまだ自分では理解出来ていない感情が疼き出したからなのかこの時の御幸は知る由もなかった。
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唐突に言ってサッと去る主人公は
まだ相手の気持ちなんて考えれない子です