第2章 第二章 ②
Bグラウンドに着き邪魔にならない場所にボールケースを置くとつばきは『わざわざありがとうございました』と御幸に頭を下げた。
そんなつばきに苦笑いをし御幸はそんなに畏まらなくていいと言った。
『助かりました』
『あーはいはい 分かったから』
『今度からは先輩の親切心を遠慮なく頂きますね』
『いや、そこは一応遠慮しろっ!』
突っ込みを入れつつじゃあなと後ろ向き出に手を振り、Bグラウンドを出ようとした御幸に今度はつばきから呼び止める。
どうしたと振り返れば先程とは打って変わった表情のつばき。
御幸が釘付けにされた時と似た真剣帯びた瞳が真っ直ぐ御幸の瞳を見つめながら口を開いた。
『私は、貴方に魅了されてここに来ました』
『・・・え?』
急な一言に目を丸くし身を固くした御幸をつばきの瞳は逸らすことなく見つめていた。
『去年の夏、ここで行われた練習試合を観た時貴方のプレーに惹かれ、ここでマネージャーをすると決めたんです』