第2章 第二章 ②
『朝練が終わって随分経つのに先輩達は何故あの場に居たんですか?』
『あーーあれな ちょっと練習前にやらかして監督ん所に謝りに行ってた』
『朝練前?・・・そういえばグラウンドが賑やかでしたね』
『あ、見てたんだ』
『遠目から見ただけなので状況はよく分からなかったんですけどね』
『いやーまぁ、終わりよければすべてよしってな?』
はっはっはー!と高々と笑う御幸を見てこれ以上触れられたくないのだなと何となく察した。結局その後も朝の出来事は濁されたままだったが何となく理由は分かる気がして聞かないでいたつばきに対し、わざわざ広める事でも無いしそれに先輩として、いや自分自身の沽券に関わりそうなので御幸は深く聞かれないで安心をしていたのであった。
用具倉庫を開け、中に仕舞われていたボールケースを二つ掴むと左手に持っていたボールケースを御幸に奪われてしまった。
『本当は二つ持ってやりたいが手持ち無沙汰になって困るだろうから一個ずつな』と言って用具倉庫を出た。
別に二つ持ってくれてもいいんですよと御幸の背中に向けて投げかければ『いいじゃねぇか仲良く半分こしようぜ?』と悪戯な笑みを浮べながら返された。
【仲良く】の言葉と表情に胸の辺りが少しざわついたが冗談で言っているのだと言い聞かせ間に受けないようにと軽く目を瞑り深呼吸をした。