第1章 第一章 ①
別に物思いにふけていた訳では無い。ただあの真剣な眼差しで部員達を見ていたあの瞳が忘れられないだけで特に考えたりする事もない。
・・・少しはこちらを観ないかとも思ったが、。
『そう言えばあの新しい子は?』
『あぁ まだ正式に入部してる訳じゃないから早めに上がらせたよ』
小湊と貴子が話している内容に何となく混ざってみようかと思い『確か礼ちゃんの親戚なるですよね?』と御幸は会話にスルッと入り込んだ。
『へぇ よく知ってんね』
『昨日礼ちゃんが言ってたんで』
『私も初めて知ったけどなるほどね だから高島先生とよく話してたんだ』
『こっちから聞かないとあまり話さないんだよね』と貴子は苦笑気味に言った。
まだ昨日今日の仲じゃ心開くってなっても難しい気がする。ましてや先輩相手に気を使わずズケズケと言うのはここのチームじゃ御幸くらいだろう。
そろそろ新入部員が寮にやって来る時期だ。
今年は面白そうなのが入部して来ることになっているし御幸はニシシとニヤケ顔になり早くその日にならないかと待ち遠しく感じた。