第9章 男と女、約束の交わし方
「そ、そなた晋助の……。何故お主がこんなところに!」
目の前に彼らの船が見えたと思えばすぐに攻撃をしかけ、あっさり負けた喜喜に思わず笑ってしまいそうになる。無いようなものだった軍を返され、少し静かになったところに彼女は現れた。
「ここでやり合うのはお互い得策では無い。大人しく君達の目的地まで送ってくれれば、上には何も言わず静かにしていよう。」
「奈落のものだと聞いてはいたが……。」
もう嗅ぎつけられていたのか、という万斉は少し絶望的な顔をしていた。そんな顔を見ながら、皐月は破れた手すりの間から下へ飛び降り、喜喜の顔を覗き込んだ。
「全く、かわいそうな将軍だ。何度永久歯を折られたら済むのだ。二次元で良かったな。」
「もしや……皐月か?皐月なのか?」
後ろを振り返れば桂が目を見開いてこちらを見ている。
「久しいな、小太郎。相変わらず毛根の調子は良さそうだな。」
銀時は眉間にしわを寄せてこちらを見ていた。ちゃんと会うのは伊賀以来、そして彼女が奈落であるとも知っている。
「……何しにきやがった。」
「そう怒らないでくれ。大人しくしていると言っているだろう?」
なんなら武器から何まで調べて捕まえてもらって構わない、と言って両手を軽く広げて見せれば舌打ちをされる。
「え、ていうか知らないのわしだけ?このべっぴんさん知らんのわしだけぇ?!晋助の……ってなにぃ?!」
今まで黙っていた坂本だったが、あまりの置いてけぼり様に耐えられず騒ぎ始めた。
「いや…確かにそうだな。高杉のってのはどういう事だ。あいつと良い雰囲気の時あったっけ?花貰ってたとこだけじゃね?」
「あぁ、知らないのでござるな。彼女と晋助は現在軸で主人公差し置いて関わりがある。なんなら、晋助は春雨の船へ行くと必ず逢瀬だとか何とかいって会いに行っていたでござる。」
「ござる。じゃないよちょっと待って!なにそれ!こっちは恨んでるとか、嫌われてるとか思われてて中々でてこられなかったんですけど!!メインこっちなんですけどぉ!!」
「おい!わしは?!わしのことを忘れるなぁ?!」
「まぁ女子三日会わざればぱんぱ、」
「バカなんだろ!お前はやっぱりバカなんだろ!」