第8章 好きな人へのプレゼント選びは慎重に
「……銀時。」
皐月は物言わぬ瓦礫に話しかける。
「随分と、待たせてしまったがな、
君の、君達の魂を返しに来た。
きっと君が知っている形ではないだろうが、気に入ってくれると嬉しい。
そして、理解するんだ。
君の戦争は、まだ終わっていない。
君の戦争は、まだこれからだ。
しかとその目に焼き付けてくるんだ。
自身の、相手を。」
銀時は知らないだろう。あの人の、真の姿を。あの人が、何であるかを。あの人が、何と戦っていたのかを。
君の魂を守るためには、知らない方がいいと思っていた。
まさか不死の化物で、吉田松陽を殺した時代を作った張本人は、吉田松陽の中にあったなんて。
だが、あの日から皐月は学んだ。
銀時の、侍の魂は、壊せば壊すほど、さらに強靭な刃となって再生する事を。
その刃でなければ、虚を倒せないことを。
吉田松陽を、助けられないということを。
下にいる八咫烏は知っているはずだ。
皐月が使えているのは自身ではないと。
だが、彼は楽しみにしている。
彼女が、自身を殺しうる刃を持ってくることを。
皐月は虚を殺す。何度でも。
彼の中にいるはずの、松陽を呼び戻すために。
「……もうここには、あの魂を持った侍はいないか。」
彼女の声に反応したか、
下にいる虚の声に反応したか、
目の前の瓦礫の山から、銀時が飛び出る。
「一生懸命考えた、あの花へのお返しプロジェクト第一段だ。喜んでくれると良いな。」