第8章 好きな人へのプレゼント選びは慎重に
虚と対峙している銀時を見て、皐月は思った。
銀時は、こんな暗闇の中虚と闘っていても輝き光る灯をその目にもっている。たとえそれが闇に消えそうになっても、それを守る人がいる。
なら、叩き潰す者もいるだろう。
皐月はその役目を誰にも渡すつもりはない。そして、その役目を意味なくするつもりもない。底無しの絶望を見せつけて、叩いて、潰して、壊して。そうやって鋼は強くなる。これが自分なりの、彼の守り方だ。
「銀時。僕には、こうして影を濃くする事でしか、君を照らす事はできないんだ。」
本当に、最高で最低なクズ野郎だ。
銀時から虚へ、意味のない攻撃がはいり、彼が不死であると悟ったであろうその時、撃ち落とされたのか頭上から船が落ちてくる。
すかさず皐月は錫杖の刀を抜きながら、崖を駆け下りて虚をその爆発から守って見せた。
炎を抜けた先、ここぞとばかりに逃げてゆく背中をみて、皐月は口角を上げた。
これでいい。
彼はまた、一つ強くなって戻ってくる。
朧が指示を出している隣、唐突に彼女は吹っ飛ばされ、崖の壁に埋もれた。
「まぁ久しぶりに良いものが見れましたから、良しとしましょう。次もまた、頑張ってくださいね。」
皐月はプラプラと折れた左腕を振った後、外れた顎を入れ直す。
「虚様の仰せのままに。」
こんな腐った道を一緒に歩かせるわけにはいかないと思うほどには、ハルを大切に思っている皐月だった。