第5章 囚われの少女
「ほらルパン、行くぞ!」
「ちょっと待って次元ちゃん、これ飲み干したらすぐ行くから!」
「はあ…まったくなにをやってるんだか」
後ろの席に乗っている不二子が呆れてている中、次元は軽くルパンの頭を叩いた。
「おめえがそんな呑気だから失敗したりするんだろうが!」
「はいはい、今行きますよ。限定品のエスプレッソ、二度と飲めなかったら次元のせいだかんな!」
「んなもん、盗めばいいだけじゃねえか!」
「……くだらぬ争いを」
ルパンはエスプレッソを飲み終えると、中身がなくなった紙のコーヒーカップをドリンクホルダーに勢いよく置いた。
「さあ、午前十二時。行こうぜ」
四人はフィアットから降り、スカイツリーの地下に向かう。
スカイツリーが消灯した時間をルパンは狙ったのだった。
ルパンを先頭に千代・次元・不二子・五ェ門と一列に並んで歩く。
「ルパンさん、どこになにがあるんですか?なんかさっきから窮屈で嫌なんですけど。しかも眠い」
千代はルパンについて行くことに精一杯だった。
「まあそうだよなあ、ごめんな。フィアットでは図体でかい侍と不二子に挟まれて窮屈だったもんなあ」
「……なぜ不二子はまともに呼ぶのだ」
五ェ門がぼそりと呟いたその時。
「…誰だ?!」
次元が目に見えない速さで、左通路にいる何かに銃を向けていた。
「……五十嵐清次郎」
清次郎がにやりと笑う。
すると不二子が千代に銃を向け、清次郎に銃を向けている次元の腕を下させた。
「こういうことよ」
「だと思ったよ、不二子ちゃん」
不二子はルパンの言葉に微笑む。
千代は今のこの状況が理解できていない。
「このときをずっと狙っていたんだ、まさか山田野の娘があのルパン三世とつるむことになるとは思いもしなかったがな」
「…お前らだったのか、警察に情報を売ったのは」
「正確に言うと情報を売ったのは私だけどね」
不二子の言葉に舌打ちをし、ルパンにほら見ろと一瞬だけ目を移す次元。