第3章 捜査開始!
「すまないな、五ェ門」
「…いや大丈夫だ」
「次元!千代!」
次元は千代の手を掴み、フィアットに乗り込もうとする。
「五ェ門、千代を!」
「わかった!」
五ェ門は動くフィアットのドアを開け、千代の腕を掴み中に入れた。
「ありがとう、石川さん」
「いやそれがしは…それより次元を」
ルパンは助手席のドアを開ける。
「次元!!」
乗り込もうとした瞬間、清次郎は次元の足首に銃弾を撃った。
「……くっ」
「やばい、ほら次元」
ルパンは次元の腕を無理やり掴み、勢いよくフィアットの中に彼を連れ込みドアを閉めた。
そしてルパンは勢いよくアクセルを踏み、研究所を出る。
「すまねえ……ルパン」
「次元それより撃たれたところ大丈夫か?」
「あ、ああ…結構深い傷になってるが弾は入ってねえ。かすっただけみたいなもんだ」
五ェ門が救急箱から包帯とガーゼ、消毒液を出して渡す。
「次元さん、ごめんなさい。私のせいでこんなに血だらけ」
「いや……千代はなにも悪くねえよ。俺のミス、お前になにかあったら三人とも気が気でない。しかもデータはあいつに渡してもいない、良かったじゃねえか。なあ、ルパン」
「さっき次元を撃った五十嵐清次郎のこと、千代はまったく知らないんだよな?お父さんの同期らしいんだけどさ」
「……知らないです」
「そっか……データも無事だし、帰ってひとっ風呂浴びるかな」
帽子を脱ぎ、トラウザーズをめくり手当てを始める次元。
顔をしかめていると、たまたまルームミラー越しの千代と目が合った。
「なにかおかしいか?」
「いや次元さんが帽子脱いだの初めて見たから」
「変な顔してるだろ、俺より」
ルパンに冷たい目を向ける千代。
「……ごめんなしゃい」
「もっと怖い顔してるのかなって思った」
帽子を脱いだ次元の素顔を初めて見た千代。
想像していた次元より、彼は優しい目をしていたのだ。
千代の言葉に次元はなにも返さなかった。