第128章 ◇第百二十七話◇悪夢に私を沈める貴方【女型の巨人】

あれからお互いに結婚の話題は避けていると思う。
気まずくならないように、無理をしているような日々が続く中、壁外調査もいよいよ目前まで迫り、今日から私はハンジ班との連携強化訓練に合流することになった。
ハンジ班は、エレンの巨人化実験の合間を縫っての訓練なので、当然一緒にリヴァイ班もいる。
リヴァイ班の訓練を隣で見ながら思い出すのは、昨日まで参加していたミケ分隊長の訓練だ。
ミケ分隊長の指導で行われる体力作りと技術向上の訓練は、ここは地獄かと疑いたくなるほどキツかった。
基本的に冷たくて、なんとしてでも生きろ！とにかく生きろ！のリヴァイ兵長の訓練が、優しく思えた程だ。
漸く解放されたことにホッとしている。
これと同じ訓練をルルも毎日、ミケ分隊長としていたらしい。
本当に尊敬する。

「リヴァイ兵長とには、一番に報告したくて。」

訓練が休憩に入りすぐに、ペトラとオルオに呼び出された。
そして聞かされた報告は、今のリヴァイ兵長と私にとって、最も避けたい話題だった。
ついにペトラがオルオのプロポーズを受け入れ、結婚の意思を固めたらしい。
まだ2人の間で結婚をすると決めただけで、両親への挨拶は壁外調査後にするそうだ。
ただその前に、お世話になっているリヴァイ兵長や、友人の私には伝えたかったーと嬉しいことを言ってくれた。
照れ臭さを隠して頭を掻くオルオも、可愛らしい笑みを浮かべるペトラも、とても幸せそうで、おめでたいことだと分かっている。
でもー。

「そうか。よかったな。」

私の隣で、リヴァイ兵長は平然と答える。
それに対して、オルオとペトラも嬉しそうに返事を返した。
気にしているのは、私だけだったようだ。
唇を噛みかけて、私も笑顔を作る。

「おめでとうっ。
　きっと可愛いお嫁さんになるねっ。オルオ、よかったねっ。」
「おう！」

オルオとペトラが顔を見合わせて笑い合う。
その様子をおめでたいことだと思いながら眺める私とリヴァイ兵長の目が合うことは、なかった。