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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第111章 ◇第百十話◇ただひたすら、信じた【恋の行方編】


テュランの鞍に括りつけてあった停留所の番号札は、ウォール・マリアの貴族の住む街のものだということが分かった。
どうせ言っても聞かないだろうと観念していたのか、愛馬に乗って兵舎を飛び出していったリヴァイをエルヴィンが止めることはなかった。
雨は止んだが、まだ白い霧は濃く、二次被害を避けるためにも、最少人数での捜索は、リヴァイを筆頭に、ハンジ班と数名の精鋭兵が来ただけだ。
目的地の街に辿り着いてからは、手分けして探している。
見つかれば、信煙弾を撃つことになっているが、嬉しい音は聞こえてこない。

(クソ…ッ!どこだ…!?)

行く手を阻む巨人を一瞬で片付け、リヴァイは愛馬に飛び乗る。
忙しなく左右に目を動かし、の姿を探し続けているが、見つかるのは巨人ばかりだー。
正直、焦っていた。
がテュランに託してくれたメッセージのおかげで、明日の朝を待たずして助けに来れたといっても、時間のロスは否めない。
きっともう、立体起動装置のガスは切れているだろう。
替刃が足りているかもわからない。
そもそも、は戦えるだけの体力が残っているのか。
腕が、足が、残っているのかー。

(…っ。)

あのとき、信じたりなんかするからー。
信じなければよかったー。
頭の中でそればかりが繰り返される。
後悔なんて、いつぶりだろうか。
ちゃんと、知っていた。
この世界に、絶対、なんてものはないことを嫌というほどに今までこの目で見てきたはずだった。
それなのにー。

『あったかい。』

寝る前にそっと抱きしめてやれば、は肩に頬を寄せて嬉しそうにしていた。
そんな彼女が今頃、雨に打たれて、寒さに凍えているかもしれない。
早く見つけてやりたい。そして、抱きしめてやりたい。
だって、きっと彼女は、絶対に、生きているからー!
この状況でも、馬鹿みたいに、リヴァイは信じていた。
を信じた自分のことではない。
絶対に生きて帰ると微笑んでくれたのことを、誰よりも信じているー。

≪アニキ!どこ行ってんだよっ!こっちだよ、こっち!≫

不意に聞こえてきた、懐かしい声に、リヴァイは思わず手綱を引っ張った。
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