【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第111章 ◇第百十話◇ただひたすら、信じた【恋の行方編】
濡れた地面を滑りながら馬が止まる。
振り向いて見たが、もちろん、イザベルの姿なんてあるはずはない。
いるはずがないのに、気づけば、馬を旋回させていた。
≪なぁ、リヴァイ。少しは俺達のことも頼ってくれよ。
-俺達を、信じてくれ。≫
必死にを探すリヴァイの耳に、今度はファーランの声が聞こえてくる。
これは過去の記憶が聞かせている声なのだろうか。
それともー。
いや、まさかー。
でも、もし、そうならー。
(なら、教えてくれ…!は何処にいる…!)
ギリッと唇を噛む、でも、不安はもうない。
強い味方がそばにいるような、そんな不思議な感覚だ。
懐かしいその声は、まるで、自分をの元へ導いてくれているような気がしていた。
(女?)
建物の角に女の姿を見た気がした。
愛馬の腹を蹴り追いかければ、2つ向こうの角で長い金髪が揺れて、こっちだと手招きするように赤い爪をチラつかせる。
ここは、巨人に奪われた人間の領域、ウォール・マリアで、人が住めるような場所ではない。
幻だと頭で分かっていながら、心が追いかけろとリヴァイを急かした。
消えては現れる不思議な赤い爪に手招きされてすぐ、辿り着いたのは、貴族の街を抜けた先にある廃墟となった教会だった。
壊れた扉の向こうに金髪を見つけて、リヴァイは愛場から飛び降りた。
教会の中は、巨人に踏み荒らされたのか、元々は整然と並んであったはずの長椅子は壊れて、散らばっていた。
その奥に、柔らかい光を見た。
そういえば、もう夜だ。
屋根が壊れて出来た大きな穴から、月明かりが差しているようだった。
その光に照らされるように、見覚えのある横顔があった。
≪大丈夫、大丈夫よ。≫
彼女は、聞き覚えのある声で、腕の中で眠るの頭を撫でていた。
その隣には、さっき見た金髪の女が立っている。
自分は今、夢を見ているのだろうか。
何を、見ているのだろうー。
≪なぁ、アニキ!俺も結構頑張ったんだぜっ!褒めてくれよな!!≫
≪いいや、頑張ったのは俺だ。俺の誘導でここまでこれたんだからな。
リヴァイ、貸しイチだからな。忘れるなよ。≫
すぐ隣から、懐かしいやり取りが聞こえた。
肩を叩く手の感触が蘇ってくる。いや、実際に感じたのかー。
分からない。
ー顔を上げたルルが、俺達を見て嬉しそうに微笑んだ。