【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第82章 ◇第八十一話◇目撃者【恋の行方編】
親友を巨人に奪われたが屍のようになってしまったとき、先輩として助けてやれなかったことを、ゲルガーは今も心の奥でずっと悔いていた。
『何かあったらいつでもおれ達を頼ってくれ。』
初めて会ったとき、そう言ったのに、ツラいとき、何もしてやれなかった。
今度こそ、怖い思いはさせないと心に誓ったはずだったのにー。
ふがいない自分にため息を吐いたとき、上官のフロアに続く階段をおりてくるジーニーを見つけた。
まだ兵団服に着替えていないようで、私服のままだ。
みんなすぐに捜索に取り掛かかれるように急いでいるというのに、何をのんびりしているのだー。
「おい、ジーニー、そんなとこで何してんだ。」
ゲルガーに声をかけられて、ジーニーは飛び跳ねんばかりの勢いで驚いて目を見開いた。
異様に焦っているように見えるその様子に、普段は鈍感だとナナバにからかわれるゲルガーでさえも不審に思った。
「上のフロアは今、ミケ分隊長達が作戦会議中だろ。」
「あ、あの…っ、リヴァイ兵長が心配でっ。」
「リヴァイ?リヴァイも会議に出てるはずだ。
心配なら、早くを見つけてやることだ。
それが一番、とリヴァイのためだ。」
「…はい。」
ゲルガーの言葉に、ジーニーは不満げに眉を顰めた。
だが、乙女心どころか、不機嫌な雰囲気に気づけるほどの敏感さのないゲルガーがそれに気づくことはなかった。
「すぐに兵団服に着替えて、集合場所で待機だ。
ミケ分隊長達の会議が終わったらすぐに捜索開始だ。」
「はい。」
頭を下げて走って自分の部屋に戻っていくジーニーとすれ違いに、見慣れた顔の精鋭兵が声をかけてきた。