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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第51章 ◇第五十話◇世界一幸せな部下【恋の行方編】


「リヴァイ兵長ってどんな子供だったんですか。」

歩き出したリヴァイ兵長の隣に並んで、私は訊ねた。
子供の頃は口を大きく開けて笑うことがあったのだろうか。
不愛想な子供というのもありえそうだ。
どちらにしろ、小さくてとても可愛い子供の姿を想像して微笑ましい気持ちになった。

「ただのリヴァイ。」
「ん?何ですか?」
「ただのリヴァイだ。まぁ、今もそうだがな。」

リヴァイ兵長は自嘲気味に言った。
どういう意味かは、私には分からなかった。
でも、そういえば、私は、リヴァイ兵長の姓を知らないことに気づいた。

「リヴァイ兵長のフルネームって何て言うんですか?」
「さぁな。」

リヴァイ兵長は短くそれだけ答えた。
自分の姓を知らないのだろうか。
そんな人がいるとは思えなかったけれど、王都の地下街で生まれた人達の生活を私は知らない。
リヴァイ兵長が、姓を言いたくなかったのか、本当に知らないのかは分からなかったけれど、それ以上の質問を重ねる勇気はなかった。

「じゃあ、リヴァイ兵長と結婚した人は、ただの人類最強のお嫁さんになるんですね。」

私が言うと、リヴァイ兵長は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
そして、自嘲気味な笑みを浮かべた。

「それは、不憫な女だな。」
「そうですか?」
「姓も名乗れない男の嫁だぞ。いつ死ぬかも分からねぇ。
 そんな男の嫁になる風変りな女は、頭も含めて不憫なだけだ。」

リヴァイ兵長の言い方は、投げやりでもなんでもなく、本心のように思えた。
まるで、自分は幸せになるべきではないと言っているみたいだった。

「そんなことないです。リヴァイ兵長は優しいし、仲間からも人望があって、強くてカッコいいし、それにー。
 それに、好きな人のお嫁さんになれるんですから、
 その人は世界一の幸せ者だと思いますよ。」

リヴァイ兵長の前に回り込んだ私は、真っすぐに瞳を見て言った。
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