【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第47章 ◇第四十六話◇おかえり【調査兵団入団編】
「うわぁ…!」
壁の上に寝転んだ途端に、目の前に満天の星空が広がった。
目が眩むくらいに綺麗な光景に、思わず感嘆の声が上がる。
澄み切った透明な空気が、普段よりも星をキラキラ輝かせているようだった。
「これを、見せるために連れてきてくれたんですか。」
夜空を見上げながら、私は訊ねた。
ルルという優しく強い気高い兵士がこの世を去ったあの日から、私は星空を見上げることをしなくなった。
それも少し違うかもしれない。
星を見るのが怖くなった。
そこに、ルルの姿を探してしまうから。
そして、ルルはもういないのだと思い知らされて、私はもっと傷つくことを知っていたから。
「世界で一番、星に近ぇのは壁の上なんだろ。」
リヴァイ兵長はそう言って、私の隣に寝転ぶ。
「あ…。」
思い出した。
前にもこうして、リヴァイ兵長と一緒に星空を見上げたことがある。
あのときも、私は親友を想ってひとりで夜空を見上げていた。
でも、夜空は遠くて、星には手が届かないと、声は届かないと、寂しい気持ちを吐露してしまった。
そんな私をリヴァイ兵長が古城の一番上まで連れて行ってくれたんだっけ。
『友人には会えそうか。』
そう言ったリヴァイ兵長に、私は照れ臭くなってしまって、無駄に強がって、夜空に一番近いのは壁の上だと答えた気がする。
そしたら、リヴァイ兵長はー。
「気が向いてくれたんですね。100年後くらいだって言ってたのに。」
「運がよかったな。」
「そうみたいです。」
思わず頬が緩む。
あまりにも夜空が綺麗で、少しだけ、泣きそうになった。
気が向いたら連れて行ってやるー、そんなその場だけの適当な約束、リヴァイ兵長は覚えていてくれたのか。
あの日だ、私がリヴァイ兵長への恋を自覚したのは。
私に触れるリヴァイ兵長の体温が熱くて、鼓動が速まって、私はようやく、特別な感情に気づいた。
でも、初めて彼に恋をしたのはずっとずっと昔、そんな気がするー。