【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第47章 ◇第四十六話◇おかえり【調査兵団入団編】
「本当にこの部屋を使っていいんですか?」
兵舎に戻ってきた私に用意されていたのは、申し訳ないほどに良い部屋だった。
驚いて尋ねる私に、ハンジさんは「もちろんだ。」と答える。
ここは宿舎の上階で、主に精鋭と呼ばれる兵士達が生活をしているフロアだ。
リヴァイ班のメンバーもこのフロアで、隣室はペトラの部屋だった。
この1つ上のフロアが最上階になり、エルヴィン団長やリヴァイ兵長、ハンジ分隊長らの幹部フロアになっている。
以前私が使っていたのは、主に新兵達が生活をしていた1階のフロアだった。
そこに比べて、だいぶ部屋が広くなって、窓からの景色も良くなった。
でも、元々の部屋で特に不便に思ったことはないし、新兵でしかも出戻りの私に、いきなりこんな良い部屋を用意されて恐縮しないわけがない。
「これからには、精鋭と呼ばれる兵士達と一緒に
作戦に参加してもらうことも増えると思うから、
彼らと同じフロアに部屋を用意するようにってエルヴィンからの指示なんだよ。」
「…そういうことなら。」
仕方がないのだろう、と私も受け入れる。
絶対に前の部屋がいいわけではないし、私だって広い部屋は嬉しい。
ベッドも前の部屋のものよりフカフカで気持ちよさそうだしー。
「それじゃ、私は今からエルヴィンに色々報告に行ってくるよ。」
「あ、じゃあ、私も一緒にー。」
「いいって、いいってっ。さっき、帰ってきたときに挨拶したわけだし。
は部屋の片づけでもしてて。」
必要な説明を終え、欲しくもない大量の書類を渡した後、ハンジさんはそう言って、部屋を出て行った。
片付けといっても、初めて調査兵団の宿舎に来た時と同じで、洋服と少しの化粧品なんかがあるだけだった。
私の荷物よりも、強引に渡された書類の方が多いんじゃないかと思うくらいだ。
だから、片付けはすぐに終わってしまった。
(あのティーカップは、もう捨てられちゃったかな。)
最後まで悩んで、置いて出て行くと決めた天使の羽のティーカップ。
無人になった部屋に残っているだろうか。
捨てられているかもしれないが、もしかしたら、部屋には残っていなくても談話室のキッチンに誰かが持って行ってくれたかもしれない。
とにかく、まずは前の自分の部屋に行ってみようー。
そう決めて部屋を出て行こうとしたとき、誰かが扉をノックした。