【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】
第47章 ◇第四十六話◇おかえり【調査兵団入団編】
恥ずかしさと、悲しさ、虚しさで今からでも泣ける。
それなのに、まだハンジさんはー。
「離婚~っ!?それはないない!もうアッツーーーイ抱擁を交わしてきたから!!
はずーっと調査兵団にいてくれるよーっ!ねっ!!」
無邪気な笑顔で「ね!」じゃない。
やめてくれ。
引きつり笑いで誤魔化す私をナナバさんが不憫そうに見ている。それが余計にツラい。
隣でゲラゲラ笑うゲルガーさんは、その向こうでリヴァイ兵長が悪魔みたいな顔で睨んでいることに気づいていないのだろう。
もしかしたら明日、彼が目を覚ました時に、彼のうなじはどこかへ消えているかもしれない。
「やっぱり、アレだろ?私が考えたセリフには震えただろ。」
お前だったのか、ユミル。
ニヤニヤと口元を歪める彼女は、絶対に確信犯だ。
もしかして、私の気持ちを知っているのだろうか。
彼女にだけは知られたくない。
弱みを握られたら、死ぬまでそれでゆすられそうな気がする。
「私はやりすぎだって言ったんだけど、夫婦の仲直りはこれくらいなくちゃダメだろうって。
大丈夫でした?」
無駄に勘の鋭そうなユミルをなんとか誤魔化す方法はないかと考えていると、クリスタが心配そうに訊ねてきた。
そんな大きな瞳で、不安そうに見上げられたらー。
「とても助かったよ。やりすぎなくらいのセリフのおかげで
演技だって気づけたからね。私、ちゃんと気づけたからね…!」
ついでに強がってみた。
ダメだ。
ナナバさんは不憫そうに私を見ているし、ユミルはニヤニヤしてる。
すっかり騙されたこと、しっかりバレているー!
「さすが、リヴァイ兵長とさんですねっ!」
純粋が過ぎるエレンがキラキラした瞳で、私を見る。
眩しい、無駄に強がって嘘をついてしまった今、彼の純粋な瞳が眩しい。
いつの間にか、エルヴィン団長のアイディアがとても気に入ったらしい104期の新兵は、あーでもないこーでもないと盛り上がっている。
たぶん、エルヴィン団長のアイディアに感心しているのではなくて、面白がっているのだ。
ニヤニヤしながら私とリヴァイ兵長を見ているコニーとサシャがいい証拠だ。
そもそも、私が両親に内緒で調査兵をしていたことがどうして104期の新兵にまでバレているのか。
そのせいでさっき、ベルトルトに、不良娘なのかとすごく心配されてしまった。