• テキストサイズ

戦国ヒロイン【織田家】

第3章 時代の革命児


他にも鷹狩りや茶の湯など、妙に共通趣味が多いことが分かった。

「頼継殿は武術は得意なのか?」

「得意ではないが、嗜んではいる。私も義春殿と同じように頭を動かすのが得意だ」

「そうか。実は私は武術がからっきしでな…。竹千代様から一本も取れていないんだ…」

「もう私も信長様から一本をもぎ取るのは厳しくなってきていますよ。でも私たちの本来の仕事は、頭を動かすことですから」

主君の学問教育係を務める我々は、頭を動かすのが得意だが体を動かすのは苦手だ。最初の頃は信長様に負けることはなかったが最近では、地味に勝ちを掴むことが難しくなってきていた。信長様の成長を見れて嬉しい反面、男の俺が自分より若い女性に負かされるのは少し複雑な気分だ。

武術は頭では分かっているが体が追い付いていかない、などとあまり嬉しくはない会話を繰り広げていた。その最中、先程話していた内容に戻ってきた。

「頼継殿。もし、今川から独立して松平家が一大名となったらどうすれば良いと思う?」

「竹千代殿の意見を尊重することだろう。間違った道に入らないように、しっかりと道を示してあげるのが本来の我々の仕事だ」

「そうだな。しかし私は未だ未熟だ」

「ならば更に励めば良い。私もまだまだ半人前なのでな」

「頼継殿、あなたは何故そこまで頑張るのだ?」

「義春殿、あなたにならば言わなくとも分かるだろう」

「主君の為…か。私にも出来るだろうか。主君に道を示すなど、普通ならば道半ばで挫折してしまうかもしれない」

「何も一人で背負えと言ってる訳ではない。主君と共に支えあってこその我々じゃないか」

「そうか…。そうだな。ありがとう、参考になったよ。信長殿が何故凄いのか垣間見えた気がするよ。頼継殿の教育のお陰なのかな…」

「もともと信長様は優秀だった。私が教育するまでもない。しかもあの方はしっかりとご自分の夢を持っている。叶えられるか分からない大きな夢を…。私はただそれを支えるだけさ」

「そんな主従関係、憧れるな…」

話が長くなり、気付けばいつの間にか陽が落ちてきていた。いくら夏といっても夕時は冷たい風が身体を包む。身体が冷える前に、俺たちは挨拶をして自分たちの居城の帰った。
/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp