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戦国ヒロイン【織田家】

第3章 時代の革命児


天文17年、1548年━━━

司馬頼継、平手政秀の働きで、斎藤山城守道三は娘である帰蝶を織田三郎信長の妹として、尾張に迎えた。今まで敵対していた斎藤家とは同盟関係となり、この頃はどの方面も平穏無事だった。

帰蝶は信長様と同じように漆黒の長い髪を持ち、結っている。流石は美濃の蝮の娘と言うべきか、妖艶な雰囲気を漂わせ、眼光は蛇そのものだった。



信長様と俺は城下…というほど発展はしていないが、遊びに来ていた。その姿はまるでこの世を傾き歩く庶民のようだった。

湯帷子を袖脱ぎにして着ていて、白い晒が巻かれているのが見える。谷間は勿論のこと、布地が薄いものを使用している為、先端の突起がしっかりと捉えられるくらいだ。また微かに桃色の乳首が透けているのが分かる。腰巻からは白く透き通る片足が歩く度に現れる。ぶかぶかに着崩しているので腰巻の中身が見えそうになるほどだった。火打袋やら色々な物を沢山身に付けていて、朱鞘の大刀を腰に差していた。

織田の姫君とは思えない身振りで、町中を徘徊している彼女が、町人から“大うつけ者”と呼ばれることは少なくない。人目をはばからず栗や柿をムシャムシャと音を立てて食べたり、立ったまま餅を食べた日もあった。

「別に人の目なんか気にしないわ。大事なのは先を見通す先見の明を鍛えることだもの」

「私からは特に言及することはありませんけど、今後国をまとめることになった際には、少しくらい町人の要求を聞いてあげた方がよろしいかと」

「その時はその時よ。今は好きにさせてもらうわ」

毎回町に下りる時には、城内とは違った派手な格好をする。普段清楚な身なりをして過ごしているが、ここに来ると露出が激しく、庶民的な服を着て遊んでいる。本人はそれが面白いのだろう。俺には良く理解できないが。

「帰ったらまた兵法の稽古、おねがいね」

眩しい笑顔を俺に向けてくれた。

うつけ者と呼んでいる奴等には理解できないだろう。信長様が日ノ本の平和を願って弓や鉄砲の訓練を真面目に取り組み、軍略を学んでいると分かる者はどれほどいるのだろうか。もし俺が庶民として生きていたならば、信長様のやり遂げようとしていることを理解することは出来なかっただろう。
いずれ信長様は大きくなる…。そう確信を抱きつつ、俺は軍略を厳しく教え込んだ。
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