【IdentityV】ゲーマーでオタクで何が悪い【第五人格】
第2章 こんにちはサバイバーの皆さん
地図をぐるぐると回して確認する。そう、お察しの通り方向音痴なのである。地図読める人すごい。
現在地がわからず唸ってると、後ろからかわいいお声がかかる。
『あっ!さっきゲームに参加してた人なの?』
「へぁ?」
思わず気の抜けたリッパーのような声が出る。
後ろを振り向くと麦わら帽子にそばかす、無邪気な笑顔が似合うエマちゃんが立ってた。
「うん。そうだよ。えっと……」
役職をどう説明しようかと悩んでいるとエマちゃんはずいっと顔を寄せてきた。
エマ「傷だらけなのっ!エミリーに見てもらうなの!!」
グイグイと腕を引かれ連れていかれる。……エマちゃん思ってた以上に力強いな。
着いた場所は恐らくサバイバーの住んでる塔。
大きな扉をガチャりと開けると、中には試合後の三人が立っていた。
エマ「みんな!外にこの人居たから連れてきたなの!!」
ぐいっと押し出され、必然的に三人の前へ出される。
エミリー「!!無事だったのね、ごめんなさい、私もゲームに参加していたのだけど逃げてしまって。医師のエミリーよ、二人はイライとノートン」
イライ「すまない、先程は助けてくれてありがとう。僕は占い師のイライ」
ノートン「ノートン。探鉱者。さっきはごめんね。ありがとう」
「いえ、お気になさらず。えっと……武人の悠斗です。よろしく。」
武人ということにした。和服に刀とか、それしか思い浮かばなかった。
エマ「ぶじん?」
「えっと、日本の昔の職で、目上の人の為に或いは自分の為に戦う人のことだよ」
エマ「なるほどなの!ならナワーブ君と一緒なの!」
確かに、元グルカ傭兵のナワーブ君とは職柄似ているところが多いのは確か。話し合いそう。
エマちゃんはその後も絶えず話を続けるが、不意に気の抜けたぐうという音がお腹から出る。……あっ、俺の腹か。
イライ「……お腹すいた?そう言えばもう18時だもんね」
大きな振り子時計を確認すると確かに18時。
エミリー「今日の厨房担当は……確か」
ノートン「トレイシーとイソップだね」
エマ「ぇえ!大変なの!今日はあんまり美味しくないなの!!」
「?」
話を聞くとトレイシーは機械に夢中でご飯はあまり作ったことがないらしい、言わずもがなイソップは社交恐怖で人といる事が苦手で集中して作れない=あまり美味しくないものができ上がる。