【IdentityV】ゲーマーでオタクで何が悪い【第五人格】
第1章 さよならゲンダイとつぜんテイエン
リッパー「……フフフフッ」
耐えられなくなったのか笑いだすリッパー。
「???」
そのまますっと、リッパーが着ているコートがかけられる。
そして足は目の前の椅子とは逆方向へ。
「??リッパー?つらないのか?」
リッパー「おかしなことを聞く。そんなにつられたいのですか?」
「いんや、できることならつられたくないよ」
リッパー「それならそのまま大人しくして下さい。今日は貴方のお陰で機嫌がとても良いので」
そう言うと鼻歌を歌いながら、空いているゲートの目の前へ。
降ろし方も俺の発言を配慮してか、音を立てないような降ろし方をしてくれた。刃は怖かったけど。
「……いいのか?」
リッパー「えぇ、楽しませてくださったので、今回限りは見逃してあげます。ぁあ、コートは差し上げますよ、変えがあるので」
「いや。そういう訳にはいかないだろ。ゲーム終わったらお前の所行けなくなるのか?」
流石にコートを貰うわけにも行かない。大切なものだろうし。
リッパー「そういう訳では無いですが……」
「なら返しに行く」
じっとリッパーを見つめる。意地でも返す。
リッパー「……フフフ、ならサバイバーの住む塔とは真逆にある塔へいらして下さったら受け取りますよ。ぁあ、他のハンターに捕まらないよう注意してくださいね。興味を持つハンターに捕まると後がないですよ」
その後がないという言葉に含まれるのが死なのかなんなのか、想像すればするほど嫌な事は無数に出るが、今は考えるのをやめよう。
「ありがとう。洗って返す。それじゃあ」
ゲートをくぐり、一本道を小走りで進む。
リッパー「随分面白い子が来たものだ。……フフフッハハハハッ」
大きく高笑いをし、爪にべっとりとこびり付いた血を舐めると、再び鼻歌とともに雪景色へ消えていった。
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「……ここであってるのか?」
地図をぐるぐる回して唸る俺の姿を、エマちゃんが発見するまでもう少し。