【IdentityV】ゲーマーでオタクで何が悪い【第五人格】
第3章 ハンターに会いに行こう。
考えても出てこないので、それを実行に移す事にした。
さて、俺が何をしようとしているか、考えてみようね。
まず、小刀を結いていた小袖を適当な長さに破きます。
そして小刀で人差し指の先端を少し切ります。勿論血が出ます。真似すんなよ。
その指で小袖に紋章を描きます。痛てぇ。
そして目元にそれをつけたらあら変身。イライくんとオソロです。
もうててごファンなら分かるよね。
扉の前に跪き、両手を合わせる。聞こえるかな……。
本来はこんな召喚の仕方ではないのは知っているし、旧神を呼ぶなんて自殺行為、本体がいるとわかっている以上どんな事になるか怖いからしないけど、来ない半分掛けて一か八か。これで来てしまったら、本来のクトゥルフ神話なら俺は死ぬ。はず。乗っ取られて。
「……ふぅ」
「…… いあ! いあ! はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ あい! あい! はすたあ!」
…………
シーンと耳に刺さる静けさが、俺の今のイタイ状態をうらずけている。だよな。うん。誰もいなくてよかった。これ見られたら恥ずかしさで死ねるもん。
『何奴だ。我を呼ぶ愚か者は』
「?!」
イライのように天眼ではないので、前は全く見えていない。しかし声だけははっきり聞こえた。そして、どっくんと心臓が跳ね上がった。
うせやろ。おい公式。
恐怖感で足がすくむが、気にしてもいられない。何も喋らないのが一番無礼だ。
「……貴方様がここに居ることを承知の上、お呼び致しました。大変御無礼なのですが、其の扉を開けては頂けないでしょうか。私は敵意などございません。ただ、貴方様を呼ぶ術しか知らない無知な人の子でございます」
何されるかわかった事じゃないが、死にたくない。死にたくないと人間口八丁は聞くもので、ペラペラと言葉はでてきた。
何時間にも思える静けさが心を刺した。ぁあ、死ぬのか俺。やべぇことしたな。いや一度死んだけど。
『我を呼ぶということはその分の代償があることを知ってか、人の子』
「……はい」
だよね、知ってた。怖い。え、足なくなったりならまだいいけど(良くない)、乗っ取られるのが一番サバイバーの人達に迷惑かける。それだけは……やばい。
震える身体を何とか起こして、声のする方へ顔を向ける。見えないのでそっちにいる気がすると言うだけだけど。
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