悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第3章 愛されたい柱の話。
いいことって何かって?あぁ。
死んだんだよ。暴力団的なやつの幹部、全員。下っ端から一番上のやつまで。「鬼」とかいうやつに喰いちぎられて。
自然と笑みがこぼれたことで、いなくなって「安堵した自分」がいるのに気づいた。そんな感情ないはずなのに。
それでも思ってしまうことは辞められなかった。でも、「ざまあみろ」と思った瞬間、あることに気づいた。
―――――食料をもらえない、と。
マズいマズいマズいマズいッ!!私が暴力を受けてきたのも、そんなことされてまで逃げなかったのも、自分から言い出したからではなく「食料を必ずもらえるから」だったのにッ!!これじゃあ生き残れない!!
近くに鬼がいることにも気づかず、私は焦った。
ヤバイ。飢え死にだけはしたくない。それなら…
鬼にでも喰われた方がましだ。
そう思った瞬間だった。
「おい、そこのお前。大丈夫か?」
一人の女が私に話しかけてきた。…刀、持っている。禁止されているんじゃないの?
そんな疑問もすぐに消えてなくなった。なぜって?
名案を思い付いたから。
「私のことはどうしてもいいです。殴っても蹴っても。だから、貴女の所に置いてくれませんか?」
土下座して、「そういえば前にもこんなこと言ったな」と思いながらもこう頼んだ。
頼み終えた途端無理やり立たされ、殴られた。そして、怒鳴られた。
「ふざけるな!なにが「どうしてもいい」だ!自分の身を大事にすることのできない奴を置く気はない!!」
は?
「思ってもいないことを言うな!出来もしないことを言うな!今だって「なんで殴られたのかわからない」という顔をしているではないか!自分で「何してもいい」といったくせに!」
私はいつの間にか泣いていた。そして気づいた。「本当は「ごはんさえ食べられればどうでもいい」となんて思ってなかったんだ」と。「殴られるのも蹴られるのも本当は嫌だったのかもしれない」と。
女は、怒鳴ったくせに私が泣き止むまで傍に居続けた。そして泣き止んだ頃に「ついてこい」と一言。
女は歩き出した。私はもうきっと待ってくれないだろう女のことを、涙を拭き、走って追いかけた。
それが、私と師匠との出会いである。
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