悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第3章 愛されたい柱の話。
私は毎回、頼る人間を間違えると思う。どうしてそんなこと思うのか、って?そりゃあね、
「莉愛!こんなんじゃすぐ鬼に喰われるぞ!!」
何故か「鬼殺隊」に入るための訓練を受けさせられているのだから。
あの後、女…師匠の後についていったら、師匠の屋敷があって。
「お前は性根が腐っている。その性根を治すために、これからここに住み、「鬼殺隊」を目指せ。相手は、私がしてやる」
とのこと。「食料をもらえるなら」と、相変わらず思ってしまった私が悪かった。
地獄である。
朝は日が昇らないうちから叩き起こされ、走り込み。
朝食を食べたら、近くの山を駆け上がり、下る。それを昼食べるまでに最低十回。
昼食を食べたら、夕食まで素振りと「型」の練習。
夕食を食べたら真っ暗になるまで腹筋やら背筋やら…。
これを週六日。地獄絵図だと思ってくれてもいい。
でも、一度「どうしてもいい」なんて言ったもんだから、今更逃げるなんてできない。
それにしても師匠が日中、外に出ないのはなぜだろう?
そうして半年と三か月が経った。師匠の使う呼吸「彩の呼吸」も完璧に使いこなせるくらいにまでなった。
そのころ、師匠によって「最終試験」を行った。それは「狭い家の中で、師匠の頸に刀を当てること」だった。
そんなことしたら死ぬじゃないか。そう思った。けど、師匠は「大丈夫」の一点張り。私がためらっている間、師匠の使う木刀が何度も私の頸にあたり、やっとやる気になった。
でも変わらなかった。師匠は早いし、強い。師匠曰く「全集中・常中」とやらをやっているらしい。一応、全集中の呼吸は知っているので、ずっとできるように肺を鍛えた。
苦しいし、喘息みたいになるし、嫌だった。けど、やらなきゃ「師匠に認めてもらえない」から、やった。
その間、師匠は何も言わず干渉もせず私の準備が整うのを待っていた。
そしてその日はきた。全集中・常中ができるようになり、それを使っても百五十連敗したある日。師匠は、こう言った。
「私の机の上に、帳面が乗ってある。その中に鬼の弱点がすべて載っている。私を倒したらそれを見て、「藤襲山」で行われる「最終選別」に行きなさい」
まるで、もう会えないかのような言葉だった。でも少しの不安を振り払って、私は勝負を挑んだ。