第10章 君だけの吸血鬼(新開隼人)
私の送ったメッセージに、隼人からの返事は意外とあっさりしていた。
[いいじゃん、楽しそうだな。部のみんなにも声かけとくよ]
その一言に、胸の奥が少しだけ温かくなる。
こうして、自転車競技部のメンバーを中心に、ハロウィンパーティーの計画が動き出した。
準備を進めているうちに、噂を聞きつけたクラスメイトたちも「私たちも行きたい!」と集まりはじめ、気づけば予想以上の大人数になっていた。
「いい? 絶対に仮装してくること!」
主催者の杏子は腕を組みながら宣言し、さらににやりと笑う。
「それから――まりんの衣装は私が用意するから!」
「え、ちょっと待って、それって――」と言いかけた私の声を、杏子の楽しげな笑い声がかき消す。
彼女の頭の中では、もうすでに完璧な計画ができあがっているらしい。
最終的に、みんなで会費を出し合い、近くの貸しスペースを借りて開催することに決まった。
――少し肌寒くなった秋の夜、きっと忘れられないパーティーになる。