第9章 私だけのサンタクロース(東堂尽八)
カーテンを開けると真っ赤な衣装に身を包み白い大きな袋を肩にかけた尽八の姿が目に入った。
私はすぐに窓を開け尽八へと話しかける。
「尽八!?こんなところで何してるの!?」
予想以上に大きな声が出てしまった私は急いで自らの口を両手で塞ぐ。
それから”ちょっと待ってて”と尽八にジェスチャーを送り玄関へ向かった。
玄関の外に出るとそこにはサンタクロースの格好をした尽八の姿。
「メリークリスマス、茉璃。サンタクロースからのプレゼントはこのオレだ」
私の頰に触れながらそんなことを言う尽八の手はとてつもなく冷たい。
こんな寒い中自転車を走らせて来てくれたのだろう。
「尽八、どうしてここに?」
「言っただろう。寂しがっている茉璃へのプレゼントだ」
「何それ」
言わなくても私の気持ちを理解して来てくれたことが嬉しくてなぜか涙が流れた。
そんな私を尽八はギュッと抱きしめ優しく頭を撫でてくれた。