第8章 聖なる夜に(荒北靖友)
「おぉ、なかなか綺麗な部屋じゃナァイ!」
「そ、そうだね」
やはり茉璃は落ち着かないようだ。
さっきからずっとキョロキョロと不安そうな顔であたりを見回している。
「おい、茉璃」
「は、はひ!?」
名前を呼ぶだけでこの驚きよう。
そんな茉璃を見てケラケラと笑うと茉璃は少し拗ねたような顔を浮かべる。
「そんなに笑わなくたっていいじゃん!その…ラブホテルなんて、初めてなんだもん…」
「わりーわりー。そうだ、茉璃おめー先に風呂は入れ」
「で、でも着替えとか、下着とかないし…」
「風呂場にバスローブがあったろ。部屋に洗濯乾燥機もついてるみたいだしあっという間に乾くだろ」
「それまで下着つけないで過ごすってこと?」
「しゃあねーだろ!ほれ、さっさと入って来やがれ!」
茉璃はオレに促されしぶしぶ風呂へと入っていく。
オレはというと、理性と戦うのに必死だ。
あんな可愛い顔は反則だろ。
理性なんて保てたもんじゃねェ!!!
オレは布団の上で湧き上がる欲を抑え悶絶しながら茉璃が風呂から上がってくるのを待つのだった。