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弱ペダ短編集

第7章 木漏れ日の下で(新開隼人)


放課後。
私はいつもの場所でウサ吉を膝の上にのせ読書を楽しんでいた。
するといつもより早い時間にも関わらず向こうの方から新開くんがやってきた。
それにいち早く気がついたウサ吉は私の膝からピョンと飛び降り新開くんの元へと向かった。

「新開くん、今日は早かったんだね」

つい先ほど早希ちゃんに気づかされたこの気持ちのせいで新開くんの顔が見られない。
私は俯いたまま新開くんに声をかけると新開くんは何も答えずにただ私の隣に座った。
先ほどの言葉が聞こえなかったのかとも思ったが、なんだかその沈黙が気まずくこちらから話しかけることができない。
そんな沈黙を破ったのは新開くんだった。

「えっと…茉璃ちゃんに好きな人ができたって本当かい?」

その質問に驚くと同時に早希ちゃんを心の中で恨む。

「そ、それは…」

私が言いよどんでいると新開くんはなぜか少し悲しげな表情を浮かべた。

「そ、そうだ!新開くんのバキュンポーズって相手を仕留めるって意味だったんだね!私全然知らなかった!」

返事に困った私はこのタイミングで意味のわからない方向に話を転換してしまった。
その私の発言に新開くんも驚いていたがすぐにいつもの表情にもおり口を開いた。

「あぁ。よくレース中とかにやることが多いかな。まぁ他にもやるときはあるんだけど…例えば茉璃ちゃんにやってたのは”必ず君の心を射止めてみせる”って意味なんだ」

飄々とそんなことを言ってのける新開くんに私は最初意味がわからずポカンとしていたと思う。
でもだんだんと意味がわかってきて心臓が早くなっていく。

「そ、それって…」
「好きだよ、茉璃の事。ここで君を見たあの日から」
「それってウサ吉くんがここにきたあの日?」
「いや、もっと前からだ」
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