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弱ペダ短編集

第7章 木漏れ日の下で(新開隼人)


「この前、新開くんのファンクラブの子に聞いたんだけど、そのバキュンポーズって”相手を必ず仕留める”って意味らしいよ。しかも女の子にしているのは見たことがないって」
「仕留めるって、そんな物騒な」
「あくまでも私の予想だけど、この場合”相手を仕留める”=”茉璃のハートを射抜く”って意味なんじゃない?」

ワクワクした様子で楽しげに話す早希ちゃんの言葉の意味を考え私の顔はみるみるうちに赤くなっていく。

「お、その反応はもしや!新開くんのこと…!」
「ち、違う!第一、私まだ好きとかいうのがどういう感じだか…」
「私、まだ何も言ってないんだけど?」

早希ちゃんはニヤリと笑い私を見る。
その瞬間私は自爆したことに気がつきさらに体温が上昇する。

「好きねー。まぁ一概にこう!とはいえないけれど例えば、ふとした瞬間に相手のことを考えてしまう…とか、できるだけ長く一緒にいたい…とか、あとは、一緒にいると心臓がドキドキうるさくて、他の子と一緒にいるところを見たらモヤモヤしちゃったり…」

私は早希ちゃんの言葉を元に一つ一つ思い返して見る。
すると見事に全てが当てはまっていることに気がついた。

「私が、新開くんを…好き?」
「お!やっと認めたか!」
「やっとって…」
「私が見てる限り、結構前から、そうね、最初の帰った騒動の少し後ぐらいからもう好きだと思っていたけど」
「そんな早くから!」

早希ちゃんは満足げな表情を浮かべニヤニヤしている。
するとどこからか突然新開くんが現れた。

「よ。なんの話をしてるんだい?」
「今やっと茉璃が恋心を知ったのよ」
「え?」
「茉璃に好きな人ができ…」

早希ちゃんが余計なことを言おうとしているのを必死に止める
すると同時に昼休み終了を知らせるチャイムが鳴り響いた。
新開くんはなんとも不思議そうな顔をしていたが、きっと早希ちゃんの言葉は聞こえていないだろう。
私はホッと胸をなでおろし席に戻るのだった。
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