第7章 木漏れ日の下で(新開隼人)
「そういえば、茉璃ちゃんは毎日放課後はここで読書をしてるのかい?」
「うん、雨が降ってなかったり地面が濡れてなければ大体はここにいるよ」
「そんな茉璃ちゃんにひとつお願いなんだが、放課後オレが部活の間だけウサ吉の面倒を見てやってくれないか?」
突然の提案に驚いていると新開くんは苦笑いを浮かべながら話を続ける。
「こいつの母親をオレが自転車で轢き殺しちまってさ。だからオレがこいつの世話してやんねーといけねーんだ。けど、最近は部活が忙しくてなかなかウサ吉に構ってやれてなくてな。こいつ、寂しがりやでさ。そのくせあまり他の奴には懐かなくて…オレが来られない時間だけでもいいんだ。お願いできねーかな?もちろん、帰りは送るから」
「うん、私でよければウサ吉くんの面倒見ておくよ」
その約束からしばらく、私は放課後はいつもの場所でウサ吉と過ごすことになっていた。
そしてそれに比例するかのように新開くんと過ごす時間も増えて行った。