第6章 幼馴染の距離(巻島裕介)
「やめるっショ」
オレは気がつくと高橋が掴んでいた茉璃の腕を掴み2人の間に割って入っていた。
「ゆ、裕介!?」
驚きの表情でオレを見る茉璃に対し、高橋は冷静なものだ。
「今日は朝からやたらとその気色の悪い髪色を見ると思ったらやっぱりお前だったか、巻島。なんだ、巻島ストーカーでもしてるのか?ストーカーならストーカーらしく大人しく邪魔しないでくれるか」
「嫌がってるショ」
「ハァ!?テメェにゃ関係ねーだろ!?」
再び茉璃の腕をつかもうとする高橋を制し茉璃を自分の後ろに隠れさせる。
すると茉璃は俺の腕にギュッとしがみついて来た。
その姿にキュンとしてしまうが今はそんな状況ではない。
「こいつは…オレのショ」
そう言うと茉璃は驚き顔を真っ赤にさせた。
「は?なんだよそれ。そう言うことかよ。じゃあもういいや。元々ヤレれば誰でも良かったし。じゃあね、茉璃ちゃん」
高橋はそれだけ言うと去って行ってしまった。
「ふざけんな。あいつ最低ショ」
オレが高橋を追いかけようとすると茉璃はオレの腕を掴む手に力を込め引き止める。
「ゆ、裕介、もういいから…ありがとう」
その表情は今にも泣き出しそうだ。
「クハッ。いつもの威勢のいいお前はどうしたっショ」
「う、うるさい!」
「悪い悪い、怖かったな、茉璃」
「うぅ…裕介のバカ…」
オレは茉璃の腕を引き抱き寄せる。
すると茉璃はボロボロと涙を流し泣き始めた。