第6章 幼馴染の距離(巻島裕介)
「行くのか?そのダブルデートとやら」
オレは気がつくと茉璃に話しかけていた。
あんなにも話しかけることができずにいたのに今はこんなにもあっさりと。
突然のオレの呼びかけに茉璃は肩をビクッと震わせ気まずそうな表情をしながら返事をする。
「あー、うん。奈々ちゃん田中くんのこと前から好きって言ってたし、少しでも協力できるならって思って…それに…」
「行くなよ」
オレは茉璃の言葉を遮りそう呟いた。
すると茉璃は
「なんでそんなこと言うの!?裕介には関係ないでしょ!」
と泣きそうな表情で怒鳴りつけた。
その怒鳴り声にクラスの連中も騒ついていたが、そんなことを気にしている余裕はオレにはなかった。