第9章 捌ノ刻~百年来の友~
藍染惣右介が黒幕であることが分かったが、こちらから手を出すつもりはない。そもそも、あの事件の表舞台に藍染惣右介という人物はいない。もし私が藍染に対して何か行動を起こそうとしても、掌で踊らされるだけだろう。
それに、藍染が黒幕であることを特定できる情報があるわけでもない。今できることは、いろいろと藍染周りを調べつつ、機が熟すのを待つことだ。機がいつになるのかは分からないが…
浦「懍サ~ン、ご飯ッスよ~」
「はーい」
朝から難しいことを考えるのは嫌だ。食べて忘れるに限る。
向かうとそこには既に、喜助くん、夜一さん、テッサイさん、雨ちゃんとジン太くんが食卓を囲んでいた。
ジ「遅いぞ! 先に食べちまうトコだったぜ」
その言葉にテッサイさんが怒る。何とも平和だ。私が着席したことによって朝食が始まる。数日泊まって、このお馴染みの光景に日常の素晴らしさを感じさせてくれる。
浦「それで…この後すぐに尸魂界へ戻られるんスか?」
「はい、そのつもりです」
浦「もう少しココに居てもいいじゃないッスか!」
「いや…まあ一応私はあっちの住人なんで」
浦「そうッスか。またこっちに来る時は寄ってください。サービスするんで」
「ありがとうございます」
朝食を済ませた後、みんなに別れを告げ浦原商店の地下から解錠し尸魂界に戻った。ただ現世に遊びに行こうと考えていただけなのに、意外な人物と再会できた。浦原喜助と四楓院夜一が現世で元気に生きていた。大罪人として語られる二人だが、私にとっては"生きていた"という事実、それだけで充分だった。
八番隊隊舎自室に戻り、情報を整理する。
黒幕は藍染惣右介。矢胴丸副隊長含めた隊長格は生存している。また、喜助くんたちも生存している。現状の疑問として、ルキアちゃんの霊圧が減少傾向にあること。杞憂かもしれないが、何かが始まるような…そんな予感がすること。
以上が私の思っていることだ。杞憂は杞憂のままでいてほしいものだが、未来はどうなるのか誰も予想ができない。…というか考えたところで何か行動に移せない以上、意味がない気がする。
(…まあ、普通に過ごしていく内に何とかなるでしょ)
ポジティブな考えだが、考えすぎてノイローゼになるよりかはマシだ。今日も平和な日常を謳歌しようと外に足を運んだ。