第9章 捌ノ刻~百年来の友~
『浦原商店』
とても聞き馴染みがある名前だ。こんな偶然があるんだなぁ。なんか懐かしい人たちを思い出してしまう。
紬「…あの」
「ん?」
この建物をまじまじと見ていたら、いつの間にかちっちゃい女の子が立っていた。胸にでかでかと浦原商店とプリントされた白い服に、水玉模様のピンク色ロングスカート、特徴的な前髪が可愛らしい少女だ。
紬「何か…?」
「あーいや、何でもないです」
変に思われちゃったかな…。ここにいる意味もないし帰ろうか。どこに帰るかわからないけど。
浦「…懍サン…?」
「…え?」
ゲタに帽子で妙に胡散臭さがあるが、この声と雰囲気は間違いない。
「…喜助くん?」
「そんなことが…」
浦原商店の店内に案内された。ちゃぶ台がある茶の間だ。古く趣のある内装でちょっとテンションが上がる。
私は百年前の事件を聞いた。首謀は藍染惣右介。どうやら彼の策略に尸魂界全体が踊らされてるらしい。確かに今まで警戒してはいたが、あまり目立った行動はとってなかったし、喜助さんの頭脳を上回る奴がいるとは思えなかった。…なるほどね。
浦「…にしても久しぶりッスねぇ。いやぁ…いろいろ成長しましたねぇ…。虚化は大丈夫だったんスか?」
哀愁を漂わせた顔で私の胸を見つめてくる。
「ええ、虚化は治してくれました。心配してくださってありがとうございます。あと堂々と私の胸を見るのはやめてください」
浦「こそこそチラ見されるよりかはイイじゃないッスか…」
「どちらにせよダメでしょ。夜一さんに怒られますよ」
それにしても現世に永久追放とは…。裏で巨大な何かが渦巻いているのかもしれない。考えれば考えるほど何が目的かよくわからないが。
「…矢胴丸副隊長たちは…無事なんですか?」
浦「ええ。なんとか虚化を治すことができました。今はどこかで何かやってるんじゃないッスかねぇ」
無事ならよかった。現世にいる限りはまたいつか会えるだろう。…相変わらずぶっ飛んだ性格なんだろうか。なおっていてほしいがなおっていてほしくない。エロ本読んでてほしい。
浦「まあ、現世に駐在することがあったら私んトコに来てくださいね。というか、数日現世にいるみたいですしウチに泊まっていってください。夜一サンにも伝えておきます」