第9章 捌ノ刻~百年来の友~
それから定期的に恋次くんと鍛練を行い、彼は確実に最初に会った頃よりかは強くなっていった。まだ未熟な部分はあるが、これ以上は鍛練ではなく実戦で磨いていくべきだ。彼に足りないのは経験だ。それは私なんかじゃどうしようもできない。
そしてその実力が認められたのか、彼は六番隊副隊長に任命された。彼の目標である朽木白哉さんの隊に…。
それと同時期に、ルキアちゃんの現世の駐在任務が言い渡された。初の単独での任務で少し心配だが、きっと彼女なら無事にこなしてくれるだろう。
「本当によかったの? ルキアちゃんにお別れ言わなくて…」
恋「いいんスよ。どうせ本当の任官は数週間後の任官式の時ですから。あいつが帰ってきた時にいきなり『副隊長だ』って言ってビビらせてやりますよ」
「そう…」
鍛練を重ねていくうちに、もちろん恋次くんとは仲良くなっていくわけだが、彼はどうやらルキアちゃんの幼馴染だったみたいだ。しかし、今はいろいろあって疎遠になってしまっているようだ。その関係は四十年以上…相当長い時間だ。
彼女は現世で上手くやれているだろうか。めちゃくちゃ不安だが、信じて待つのも残されたものの任務である。浮竹隊長と縁側でお茶でも飲んで一緒に待つのもまた一興…。しかし、私にはある特別待遇がある。『現世、尸魂界及び虚圏の三界の行き来の自由。但し、緊急の際は一度尸魂界に戻り指示を仰ぐこと』これが私に与えられた待遇。ありがてえ。
今までこの特権を使ったことはなかったけど、あるならば使わないと損でしょ。…現世には真央霊術院時代以来行ってないしね。どんな世界になっているかが楽しみだ。
私は解錠をして現世に向かう。特に理由もなく。
現世 空座町―
かつて私が来た町。あの頃とは違って、住宅地が密集した空間だ。学校や商店街もあり活気に溢れている。ちなみに今は義骸に入っている。長期滞在するつもりはないが、あまり義骸に入る機会がないのでちょっと興奮している。
この町をフラフラ歩くのは瀞霊廷の散歩と同じくらい気持ちがいい。いつもとは違う風景だからか凄く新鮮に感じる。ふと脇道の奥を見てみると古ぼけた建物を発見する。その古ぼけた建物にはでかでかとした看板があり、看板にはこのように書かれていた。